介護ではたらくみんなを応援! コウベ de カイゴ

好きとか得意だからじゃなく。
じぶんに合った
働き方ができるから
ずっと続けてこられた。
訪問介護 シエル
訪問介護サービス事業者
森 樹里さん(40代)

訪問介護の働き方が、
自分のスタンスや
生活に合っていた。

結婚してブランクがあった時期もありましたが、20代のころから介護の仕事をしています。はじめた当初は、今のようにたくさんの事業所があるという感じでもなかったんです。福祉のニーズが高くなるとか、何か先を見ていたわけではなくて、資格をとっていたほうが将来的にいいだろうと思ったのが、そもそものきっかけでした。資格を取得するための実習先で「うちで働かないか」と言われたのが最初ですね。

介護の仕事が、自分にぴったり合っているとは、今も思っていません。しんどいと思ってないからいけるのかな、みたいな。得意とかじゃないけど、苦痛じゃないという感じです。朝から晩までずっと利用者さんといる、ひとつの場所に拘束されるというのが、私は性格的に苦手だったので、訪問介護を仕事に選びました。自分の時間を確保できて、なおかつ収入も得られるという働き方が自分のスタンスに合っていたので、正社員ではなく、派遣登録の介護職員として働いてきました。でもそのおかげで、自分の用事とか、子どものこととか、学校の行事ごととかも含めて、放ったらかしにすることなく仕事と両立できたので、とてもよかったと思っています。

関わったからには
最後まで寄り添いたい。
だから、自ら事業所を。

以前、勤めていた事業所がだんだんと経営者の年齢が上がるにつれて、新規の利用者さんを迎えなくなって、将来が先細っていく感じがするようになりました。既存の利用者さんで事業を展開していく状態が何年か続いていたのですが、まだ私は働いていかないといけないと考えた時に、新しくどこかに身を置いたり、掛け持ちで仕事をしたりしたくなかったので、自分で訪問介護サービス事業所を立ち上げることを決めました。いっしょに仕事をしてくれる人や、ついてきてくださる利用者さんが何人かおられたことも決め手のひとつになりましたね。

利用者さんの中には、自宅でみるのが困難になってきたりとか、施設の入所を考えたりする方もいて、そのうえ身寄りがない方もいます。だから、関わったからには最後までって、いうキモチがありました。でも勤めていると、そうはいきません。以前勤めていた訪問介護ではサポートできないと判断して、受入が可能な施設に入所いただくというケースがありました。利用者さんとの約束じゃないですけど、ずっと関わりを続けようと思ったら、自分がそこを動かせる立場にいないといけないと思ったのが、訪問介護サービス事業所を立ち上げる大きなきっかけでしたね。

食べるという
最低限の楽しみを
提供していきたい。

私がいちばん気になるのは食事のことです。それは、どんな人でも、やっぱり最低限の楽しみではあると思うからです。だから、食べることはきちんとかなえてあげないといけないんだと思って仕事をしています。例えば、冷蔵庫に入れた冷たい食べ物をそのまま食べても、やっぱり食が進まないですよね。そのことを介護職員が見過ごすと、「この人は少食だ」と判断するケースもあります。本当は食べる人かもしれないのに。だから買ったものでもいいので、ちゃんとプレートに並べてあげて、あったかいものを出すようにしています。それだけでも全然違うし、利用者さんから「ありがとう」って言われると、当たり前のことなのに、と思ってしまいます。

当たり前のことをしない人も、同業者にはいますが、それはもう仕事というより人間性だと思います。相手は、ロボットではありませんし、人間です。おいしく食べられたら栄養も取れるし、体力もついて、少しはよくなると思うので。だから、きちんと食べられるようすることが一番大切だと思っていますし、そんなサービスをこれからも提供していきたいです。

PROFILE

森 樹里さん(40代)訪問介護サービス事業者
20代のころから、介護職に従事。訪問介護サービスでの派遣登録社員を経て、自ら訪問介護サービス事業所を立ち上げる。
訪問介護 シエル<長田区>
2022年に開設。派遣登録を含め、約10名の介護職員が在籍。長田区・兵庫区エリアを中心に、訪問介護サービスを行う。