介護ではたらくみんなを応援! コウベ de カイゴ

大変なことでも、
特別なことでもない。
一人ひとりの当たり前を
つくる仕事なんだ!
特別養護老人ホーム 芦屋すみれ園
介護福祉士 佐藤 俊輔さん(30代)

きっかけは学生時代に
バイト先の先輩から
聞いた話に興味をもったこと。

大学時代は経済学部で、介護とはまったく無縁の勉強をしていましたが、当時のアルバイト先に福祉の学校に通っている先輩がいて、研修先にご飯を食べない利用者さんがいるという話を聞かせてくれました。その利用者さんはご飯を食べさせようとしたら叩こうとしてくるので、先輩が「その攻撃をよけたらご飯を食べてくれる?」と聞くと「わかった」と言われたそうです。若い先輩からすると高齢者の動きなので簡単にかわすことができ、1回避けたら一口食べてもらうことを繰り返し、最終的にご飯を全て食べさせることができたという話でした。
ご飯を食べさせる、ということも、その時は想像もできなかったんですけど…。元々「介護は大変な仕事なのだろうな」と漠然と思っていたのですが、その話を聞いて、楽しそうだなという印象を受けました。

就職活動では一般企業の説明会にも参加しましたが、説明している人との距離が遠く、何か要望があっても、さらに上の人に届くにはどれだけ時間かかるのかなと、漠然と疑問に感じました。たまたま、社会福祉法人からお誘いがあり話を伺う機会があったのですが、偉い方がすごく近くにいて、声が届きやすいのかな?と思い、高齢者の方と関わりをもつ仕事をしたいと思ったのが介護業界に入ったきっかけです。

成果が必ず数字に
あらわれる仕事ではない。
でも、大きなやりがいはある。

利用者さんの中に、普段はご自身のおっしゃることが絶対で、奥さんのおっしゃる事はお聞きにならないような方がいらっしゃいました。介護されることに対しても人の世話になんてならんという態度でしたが、時間をかけて少しずつ関わっていくことで、好きだったことや昔の思い出、奥さんへの感謝の言葉をお聞きすることができました。そのことを他の職員に共有しても半信半疑で、じぶんだけに話してくれたのだと知りました。職員と利用者の関係ではなく、一人の男としてお話をしてくださったと感じ、信頼されることの大切さに気づきました。目に見える数字や利益とは少し違いますが“人として信頼されることができたこと”が、この仕事の成果なのだと思います。

あとはやはり、職員と一緒に何かを達成した時にやりがいを感じます。施設での生活に馴染めない利用者の方に対して、こういう関わりをしていったら変わるんじゃないかと色々職員と一緒に考えて、試した結果、利用者の方が施設に馴染んでうまく過ごされるようになることがよくあります。数字には出ないですが、「よかったね」と言える瞬間がうれしいですね。
管理者という立場では、困っている方の話を聞くという姿勢を大事にしています。例えば、職員間に何かあれば、どちらか一方が悪いとかどちらか一方が正しいとかってなかなかあることではないんです。双方への聞き取りをした上で、事実の確認を行い一方の意見のみを尊重するといったことのないようにしています。それは利用者の方に対しても同じで、職員のマネジメントができないなら、言葉でうまく表現することができない利用者の方の気持ちがわかるわけがないと思っています。
利用者も職員も皆同じ人間なので、人との相性だったり、好き嫌いだったり色々あるんだなと思っています。

助けてあげるとかではなく、
介護はもっと普通で、
当たり前の仕事でいい。

介護の仕事に対して、世間では汚いという印象があるかもしれませんが、たとえば新聞紙に包んで匂いが出ないようにしたり、汚れたらその都度掃除したりするなど、いろんな工夫をして仕事をしているので、そういったことはありません。福祉だから、高齢者施設だから、勝手にイメージがついただけで、普通の生活や会社で考えたら当たり前のことなんですよ。介護に対しても、弱者を助けてあげる仕事であったりとか、お世話をする仕事であったりとか、よく言われます。でも、実際に働いている私が思っているイメージとは言葉が違っていて、かっこいい表現ではないですが、もっと普通でいいんじゃないかと思うんです。「何かをしてあげよう」って、大層なことじゃないですか。そうではなくて、普通に、当たり前のこと。例えば家族で食卓を囲んでいるときにちょっとあんた醤油取って、と言われたら自然に取って渡しますよね?わざわざ「何かをしてあげた」みたいな感覚にはならないんじゃないかなと思います。
だから、特に介護現場にいる時は、仕事をしているという感覚はあまりないですね。

私のように新卒から介護業界に入る人はまだまだ少ないです。若い働き手がもっと増えてほしいと思います。若い人たちは今の時代のいろんなものを取り入れるし、柔軟に考えられるので、業界全体が活発になりますよね。チャレンジする余地はたくさんあるし、盛りあげていってほしいなと思います。

PROFILE

佐藤 俊輔さん(30代)介護福祉士
大学卒業後、社会福祉法人すみれ会に就職。無資格から介護職をはじめ、4年目に介護福祉士の国家資格を取得。現在は管理者として、特別養護老人ホームでの相談業務やマネジメントに携わる。
社会福祉法人すみれ会
特別養護老人ホーム 芦屋すみれ園
<東灘区>
80床の入所型施設で、少人数のグループに分かれて共同生活をする利用者さんを職員がサポート。年を重ねても愛着ある地域で快適に暮らせるよう、お1人おひとりに合ったサービスを提供。