介護ではたらくみんなを応援! コウベ de カイゴ

さらに強い業界へ
変えていく、
これからの働き方。

中央区 株式会社アソビゴエ

神戸市内に6つの事業所を展開する株式会社アソビゴエ。社長の鎌田翔悟さんのもと、創業から毎年企業成長を遂げ、職員の定着率は94%という結果を残している。介護業界の常識にとらわれないさまざまな改革に取り組む、アソビゴエの働き方について、鎌田さんに伺ってきた。

取材に伺ったゲンバ

株式会社アソビゴエ<中央区>
専門学校卒業後、社会福祉全般に従事してきた鎌田氏が2017年に起業。神戸市内に6つの事業所を構え、介護サービスを展開。社名の由来は仕事と並行して活動していたバンド名から。

会社HP

アソビゴエは、
働く人のためにつくった会社
定着率94%というのは業界でもかなり高い数字だそう。まずは達成できた理由について、教えてくださった。

理由は大きく3つあります。1つ目が雇用の考え方ですね。うちは障害者やひとり親、シルバー層といった特定雇用を積極的に行っていて、看護師や介護福祉士といった業種の方の障害者雇用を日本で初めてした会社なんです。

お話いただいた鎌田翔悟さん

鎌田さん自身が就労支援に携わった時期があり、そういった方でもできるという想いがあって採用が始まった。今では特定雇用の割合は全職員の20%にも及ぶそうだ。

2つ目はリカレント教育にチカラを入れています。年間で1人当たり50万ぐらい予算を組んで、経済的な側面と人間的な部分を教育するMQ戦略ゲーム、思考を整理するマンダラチャート、仕事をストレスなく取り組むようにするTOC研修といった取り組みをしています。

介護福祉士や看護師が自分の職務に専念するために環境をつくるのが会社の役目だからと鎌田さんは語る。効率・能率化をめざして教育支援に取り組んでいる。

社内でのリカレント教育の様子

3つ目はICT化。うちは電話代行システムを使っていて、電話は鳴りません。医療と比べて、緊急度・重要度が高い電話は、事業所にかかってくることは少ないんですよ。自分たちが能力を発揮しやすい環境を自分たちでどれだけつくれるかってすごく大事だと思うんで。

介護はサービス業だからこそ、利用者や職員といった人を中心に取り組む。その考え方が教育や雇用、働き方といった業務改善に繋がっている。
業界ではなく世間の常識に
合わせて、自社の考えを。
ほかにもアソビゴエでは独自の考えのもと、職員の働き方を変えている。そのひとつが訪問介護職員の移動手段で、一般的に使われる車やバイクといった移動手段は使っていないそう。

うちの訪問介護の移動は、6割近くがタクシーと電車・バスです。社員の安全を第一に考えた結果、この移動手段に落ち着きました。業界の常識ではなくて、世の中の常識に合わせて、自社の常識を作ろうって、いつも言っています。

安全の考え方も、車が安全なのか、バスや電車が安全なのかは人それぞれ。そこは個人が決定できるような環境づくりがされているそうだ。

また社内のコミュニケーションはビジネスチャットツールが使われている。デジタルで録画したものや録音したものの社内共有、事業のリーダーからのスタッフへの訓示、各施設の採用プロセスの可視化するための活用が主だそうだ。

チャットツールで禁止にしていることは相談です。結論が出ずに、だらだらと長いフローになるので。3回までのやりとりで終わるのが理想ですね。

相談をなくした分、6つある事業所の数だけ貸し会議室をかりて、各事業所の全職員が集まって話をする会議を新たにはじめたという。

ただし時間は1時間。膨大な会議録になりますが、内容がしっかりしているので、新人職員に会議録を読ませているんです。会議録を読むことで私たちのことを理解してくれる、さらに研修して理解がさらに深まり、職員としてよくなる。それらの経験を通して、新人が会議で話すようになれば、また事業所が良くなるので。

数が多いほど時間がかかってしまいがちな事業所単位の会議も鎌田さんの手にかかれば効率的になる。
世の中の人たちがいいと思う
介護をつくりたい。
ケアマネジャーが利用者にケアプランを作成するのと同じように、アソビゴエでは事業所の方針をベースとした職員に向けたマネジメントプランをつくっている。

今期はこういう方針で行きますよ。外部環境はこう変化しますよ。数字とか、それに対して予実管理をするとかっていう、うちは計画をすごく大事にしています。企業でいう経営計画なので、普通にやっているという感覚ですね。

業界の概念にとらわれず業務改善や職員のマネジメントに取り組む。その結果は職員にもあらわれている。インタビューで見せていただいた会社案内には中途入社した職員の“入社するまでは決められたことをこなす日々でしたが、ここでは様々な研修を受け、自分で考えて納得できるようになりました。”という声が載っている。

ここですね、1番は。何かを新しく知るというよりも、知る、できる、やれると。やっぱやれるようになってほしい、そのためには、納得感があった方がいいよねと思うんです。

これはいつも職員に言うんですけど、横幅が専門職としての知識や経験量。縦軸が社会人としての倫理観や利益追求。利益っていうとなぜかお金ってなる人もいますが、そうではありません。利益って、お客様への提案に対する対価だと思うんです。介護って横幅(知識・経験)だけ勉強しておけばいいと思いがちですが、縦軸(倫理観・利益追求)もしっかりしていてくれと。

そうでないと事業として利益を追求していけないし、働きたいという人を採用できなくなる。それが鎌田さんの想いだ。